今回のモデルルームは「自分がレンガ積みの建物をつくるならこんな内装がいいな、、」
と思っていたものを形にさせていただいた建物です。
通常のお仕事の中では「うちはそこまでは望んでません・・」と目を伏せられる事も多いですから、こういう時しか試験的な事って中々できません。
前にも2棟モデルハウスには携わりましたが、最初から最後まで関わる事が叶わなかったので、今回はどうにか時間をつくり「やりきりたい」思いが強かったです。
任せてくれた三牧社長には感謝しております!
完了検査に来る検査員がいつも
「中は普通なのね・・」
と捨て台詞を吐くのが悔しくてね。
若い頃ヨーロッパを旅した時に観て感じた物も含めながらプランを考え
難しい所は自分で作ればなんとかなるから
飾りつけでごまかさなくて良いレベルまで
作り込む事にしました。
拘ると増えるのが「詳細図」ですかね。
ようはイメージを具現化する為に必要な
職人や業者への説明書です。
階段1つとっても必要になります。
面倒ですが、描いてしまえば思い通りに
現場が出来上がります。
でも描いてしまえばそこで終わりでもあります・・
だから描く時間より実は検討時間の方が多くなります。時には試作もします。
運転中や食事中、寝ている時も常に納まりを考え続けます。
数件同時進行の時はとにかくキツイ!
それでも図面が間に合わないぃ!!って時は、休工中にしれーっと自分で作り納めます。
自分で作るにしても
結局は図面描いてるんですけどね・・
段取り8分、仕事2分っていうでしょ。
段取り=作図 なので、作図が終わらないで加工を始めても無駄に材料を使ったりと結局は非効率なんです。
若い人は一度何でも自分でやってみるといいかな。きっと相手の立場を理解する良いきっかけになるし、イメージできても図面におこせない・・
なんて事も減ってくるからね。
図面描かないで(実は納まりが分からず描けない)連絡とれなくなる設計屋にはならないで欲しいものです。
そうそう、間に合わない=怠け ではなくて
間に合わない=発想が定まらない・出てこない だと思うのですが
発想って地頭が優秀な人以外は出てきません。
でもこれって当たり前の事なんです。ではどうしたらいいのか。
とにかく日々の生活で色々な物を見て潜在意識に焼き付けておきましょう。
それに依りきっとどこかで見た物が「自身の発想」として湧いてくる時がきますから。
さて、少しだけ拘りポイントを解説させていただこうと思います。
写真はリビングの扉ですが、実はPanasonic建材を加工したものになります。
Uオーダーで無加工の扉のみを注文し、好きな金物を取付てあります。
アイアンの引手は手触りが悪いので(特に冬場)革を縫い付けました。
既製品は中身が中空なので、下地が無い部分は此方で補強が必要です。
振れ止めのレール溝も掘ってやったりと少し手間は生じますが、少し良くないですか?
この扉の吊り方はレールさえ取り付けられればリフォームでも可能です。
写真はカップボード上の棚板です。
リビングから一番見えるところで吊戸棚は生活感が漂うので、飾り棚だけにしてみました。
見た目をごつくしたくなかったので、薄めの板を使いました。薄い1枚ものの板は反りが大きいので、幅の狭い板3枚をビスケットで剥ぎ合わせてあります。
先日ご案内させていただいたお客様が、バーのギミック(写真右)に気が付いてくれた時はうれしかったですねぇ。完全に自己満部分だったので。
写真は玄関ポーチの軒天井施工風景です。
写真左は下地部分で、壁沿いには通気部材(兼緩衝材)下地には仕上材と同色に塗装した合板を張っています。仕上材に使用したのはガサガサの杉の貫き板(グリーン材)で数カ月前から天乾させ準備していたものです。通常仕上に使う材料ではありませんので必ず反りや割れが出ます。その時に天井裏が透けて見えない様に合板を捨て張りしておきます。
写真は床板です。今回ブラックウォールナット材(広葉樹)を使用しました。
よく家具に使われている材種かな。
オイル塗装仕上は聞こえは良いのですが
手入れが出来ている人を殆ど見ませんので
今回はウレタン塗装仕上げにしました。
水などが染み込難く扱いやすいと思います。
板幅を120㎜と90㎜の2種類を交互に張り仕上げ見た目の変化を出しました。
床材の色で室内の雰囲気や全体が決まってしまうので、これを決める時は特に悩みます。
色を変えるだけで結構雰囲気が変わるでしょ。照明の反射も変わってきます。
今回造作の塗装は誰でも塗り易いワトコオイルで仕上げました。
オスモも使いますがワトコの方が拭き取りが楽なので・・特に冬場はね。
なるべく床材の色に合う様に2~3色を調色しています。
床材がブラックウォールナットなので・・
材の色が濃い場合
ウォールナット2:チーク1
材の色が薄い場合
ウォールナット2:チーク1:エボニー1
って感じかな。
写真は枕梁をイメージした装飾です。
ミミ付の無垢板で、鋳物の鋲を化粧で打ち付けています。
(この下にビスが隠れてます)
そろそろ飽きてきましたよね(笑) 次でおしまいにします!
これは鉄格子です。アイアン格子って言った方が聞こえが良いですかね。
これ作るのはとにかく面倒なのですが
見掛けた時に惚れ込んでしまい
「絶対模造してやる!!」
と思った意匠でした。
作る度に少しずつ本家に似てきているので私の腕も少しずつ上がってきているかな
なんて勝手に思っています。(暗い!)
写真左がツルツル仕上で、写真右がザラザラ仕上。
ツルツル仕上は室内など触れる事がある場合は良いかもしれませんね。
ザラザラ仕上はアイアン格子がワンランクカッコよくなります。
実はTDSのどこかにこの意匠の鉄格子がありますので(おこがましい!)
隠れミッキーの様に探してみてください!
まだまだ話はつきませんが、是非一度実物を観に来ていただけると嬉しいです。
以上、モデルハウス創案のお話しでした。
~ 建築部1号 ~
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